文豪の傑作も無料で!青空文庫のおすすめ作品をジャンル別に紹介します

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最近は、個人が自分の文章を気軽に発表できるようなプラットフォームが充実してきました。

個人ブログの中にもめちゃめちゃ面白いものがあるし、色んなことがきっかけとなって新しい才能が発掘されればいいなあと思っています。

一方で、優れた古典の魅力というのも色褪せることはなくて、僕は相変わらず古い小説やノンフィクションなんかを読むことが多いです。

で、古い作品の中には青空文庫に収録されているものも沢山あります。

インターネット上の電子図書館「青空文庫」

青空文庫を知らない人(いるのかな?)のために簡単に説明すると、青空文庫はインターネット上の電子図書館サービスです。

著作権保護期間が完了した人の作品を中心に、ボランティアが入力・校正などの作業を担当し、インターネットにアクセスできる人は誰でも楽しむことができます。

著作権保護期間が完了しているということは、現在の制度で作者の死後50年が経過しているということなので、収録されているのはなかり古い作品が中心です。

でも、何がすごいって、大量にラインナップされている作品を読むのが全部タダ

夏目漱石も芥川龍之介も森鴎外、無名作家の作品も全部タダ!

青空文庫を知らなかったという人は、ぜひ一度サイトを覗いてみて欲しいんですが、ここでは、僕がおすすめする青空文庫収録作品を、小説、科学読物、評論・啓蒙書、その他の4部門に分けて紹介していきます。

インターネットの電子図書館、青空文庫へようこそ

おすすめの「小説」

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梶井基次郎 檸檬

上京して、初めて丸善に行った時はなんだか感動しました(イタズラはしていない)。

ちなみに、僕の周辺半径5cmの範囲を調査したところ、「檸檬」は読めるけど書けない漢字No.1です。

丸善の棚へ黄金色に輝く恐ろしい爆弾を仕掛けて来た奇怪な悪漢が私で、もう十分後にはあの丸善が美術の棚を中心として大爆発をするのだったらどんなにおもしろいだろう。

 織田作之助 夫婦善哉

ドがつくほどの定番なんだけど、結婚してから読むとまた違った読後感があります。

いわゆる典型的なダメンズものです。

昼間は将棋などして時間をつぶし、夜は二ツ井戸の「お兄ちゃん」という安カフェへ出掛けて、女給の手にさわり、「僕と共鳴せえへんか」そんな調子だったから、……

芥川龍之介 蜘蛛の糸

お手本のような起承転結でストーリが進む短編小説の一つの完成形だと思います。

江戸川乱歩 人間椅子

江戸川乱歩は2016年にパブリックドメイン入りしました。現在も多くの作品が入力、校正作業中です。

明智シリーズも良いですが、大人におすすめなのはちょっと狂った作品。

あなたが今座っているソファーの中にも……。

夢野久作 きのこ会議

可愛らしいタイトルですけど、作者は夢野久作ですからね……。

もちろん万人におすすめできる作品ではありません。

フランツ・カフカ 変身

もし読んだことのない人は、一度でいいから読んでみてください。

小説には無限の自由度があることを教えてくれます。

ある朝、グレゴール・ザムザが気がかりな夢から目ざめたとき、自分がベッドの上で一匹の巨大な毒虫に変ってしまっているのに気づいた。

吉川英治 三国志ほか

あの吉川三国志も、宮本武蔵も全部読めます。もちろん無料です。

青空文庫の工作員のみなさまに感謝です!

新美南吉 うた時計

新美南吉が子供向けだと思って読まず嫌いしている人は是非この小品を読んでみてください。

3分でホロッとします。

宮沢賢治 注文の多い料理店

やっぱり宮沢賢治ではこれが一番面白い。

伊藤左千夫 野菊の墓

デビュー作がベストという作家は結構多いように思いますが、伊藤左千夫もまさにそのうちの一人かと。

ただ、古今東西、これを超える恋愛小説を僕は知りません。

「民さんはそんなに野菊が好き……道理でどうやら民さんは野菊のような人だ」

おすすめの「科学読物」

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寺田寅彦 茶わんの湯

茶わんの湯という身近なテーマを題材に、その中にある科学を紐解く寺田寅彦ならではの作品です。

ファラデーの「ろうそくの科学」にも匹敵する科学随筆だと思います。

寺田寅彦 天災と国防

下に引用した一文は、慧眼というしかありません。

文明が進めば進むほど天然の暴威による災害がその劇烈の度を増すという事実である。

寺田寅彦 アインシュタイン

一流の科学者による一流の科学者の伝記。面白く無い訳がありません。

池田菊苗 「味の素」発明の動機

味の素の発明者として有名な池田菊苗による回顧録です。

「味の素」が広く世に行はれ幾分にても国民栄養の上に貢献する所ありとせば其は主として製造者たる鈴木氏の宣伝の功に帰せざるべからず、余は唯当初の目的の過半達成せられたるを欣ぶものなり。

仁科芳雄 株式會社科學研究所の使命

今の理化学研究所の理念を語った文章です。おぼか……以下自粛。

戸坂潤 現代科学教育論

科学教育の問題が、これが書かれた50年前から何も変わっていなくて震える……。

今日の生徒の大多数は自然科学の学課についての問題と云えば、試験問題だと思っている。処が試験問題というものはすでに解決ずみのもので、実は問題でも何でもないのだ。

鈴木梅太郎 ヴィタミン研究の回顧

脚気に効くオリザニン(ビタミンB1)の発見について書かれた回顧録です。

何の研究でもさうだが、かういふ研究は全く根氣が續かなくては駄目である。折角始めても、途中で止めては何にもならない。

高木貞治 回顧と展望

学生時代に「解析概論」に手も足も出なかった落ちこぼれとしては、高木先生自身が色々苦労されていたというのは何かと感慨深いものがあります。

長岡半太郎 プランク先生の憶い出

短いエッセイですが、出てくる名前がビッグ過ぎます。言わば物理学界のスーパースター列伝。

中谷宇吉郎 雪

雪の結晶に関する研究課程やその成果に関する本ですが、専門外の人向けに平易に書かかれています。

雪の結晶の写真も沢山収められています。

水に「ありがとう」と声をかけたら綺麗な結晶ができるとか言う人は、この本を読んだ後に、中谷先生の爪の垢を煎じて飲んでむことをおすすめします。

おすすめの「評論・啓蒙書」

books

永井荷風 小説作法

荷風は銀座のカフェ−にたむろしているただの不良じいさんではないんです。これだから明治のインテリというのは恐ろしい。

「あめりか物語」の収録も待たれます。

和辻哲郎 創作の心理について

古寺巡礼で有名な和辻哲郎の評論。

これほど的確にエセ芸術家をディスっている批評を見たことがないかもしれません。ちょっと長いですが引用しておきます。

ほんとうに生きようとしていないノンキな似而非えせ芸術家が創作をやっている。それを「ほんとうに生き」たくない読者が喜んで読む。そこに彼らの仕事が何らか社会的の意義を持つような外観を呈してくるのである。で、彼らは乗り気になって、自分がある事を言いたいからではなく読者がある事を聞きたがっているゆえに、その事をおもしろおかしくしゃべり散らす。純然たる幇間である。またある人はただ創作のためにのみ創作する。彼らの内には、生を高めようとする熱欲も、高まった生の沸騰も、力の横溢もなんにもなく、ただ創作しようとする欲望と熱心だけがある、内部の充溢を投与しようとするのでなく、ただ投与という行為だけに執着しているのである。従って彼らの表現欲は内生が沈滞し、平凡をきわめているに比べて、滑稽なほど不釣合に烈しい。

森鴎外 夏目漱石論

今更森鴎外の小説を紹介するのも何なんで、ちょっと変わり種を。

まさに英雄は英雄を知る。

福沢諭吉 修身要領

最近の意識高い系も、明治の人の意識の高さに比べたらまだまだ……。

独立自尊の人たるを期するには、男女共に、成人の後にも、自みずから学問を勉め、知識を開発し、徳性を修養するの心掛を怠る可らず。

西田幾多郎 読書

青空文庫にはもちろん「善の研究」もありますが、僕は挫折したので短めのものを。

偉大な思想家の思想というものは、自分の考が進むに従って異なって現れて来る。そして新に教えられるのである。

九鬼 周造 「いき」の構造

「いき」という概念について考察した論説。一般に見た目や立ち居振る舞いに対して使われる「いき」が、客観的表現に基づくものではないというのはすごい納得。

ただ、この概念が西洋にない日本民族固有のものかはちょっと疑問。

その他のおすすめ作品

hands

尾崎放哉 尾崎放哉選句集

種田山頭火とならぶ自由律俳句の巨人。

入れものが無い両手で受ける

天才かっ!

三遊亭金馬 昔の言葉と悪口

悪口というより、ジョーク100連発みたいなものです。

江戸っ子は五月さつきの鯉の吹き流し

口先ばかりで腹わたはなし

文部省 あたらしい憲法のはなし

現行の憲法が施行された当時、新制中学校1年生用社会科の教科書として文部省が発行したものです。とりあえず子供が中学になったら読ませてみようかと。

その前に憲法が変わってるかもしれないけど……。

有島武郎 小さき者へ

子供への手紙とも私小説ともとれる作品。子供がいる身としては、涙なしでは読めません。

小さき者よ。不幸なそして同時に幸福なお前たちの父と母との祝福を胸にしめて人の世の旅に登れ。前途は遠い。そして暗い。然し恐れてはならぬ。恐れない者の前に道は開ける。

無料のすごさ

作品の中には、数分で読めてしまうものから、吉川英治ようにボリュームたっぷりのものまで様々です。

全体では一生かかっても読み切れないだけの蔵書数になっています。

個人が誰でも気軽に文章を販売できる今だからこそ、これらの作品が全て無料で読めるということには大きな意味があると思います。

ちまたに溢れる有料のペラペラしたノートに消耗しちゃっている人、世の中にはすばらしい古典が沢山あるってことを忘れないでください。

ちなみに、青空文庫に収録されている作品は、PCのウェブブラウザー上ではもちろんのこと、ちょっとファイルをいじればKindleなどの電子書籍リーダーでも読むことができます。

下にもう一度リンクを載せておくので、ぜひ一度覗いてみてください。

インターネットの電子図書館、青空文庫へようこそ