子供の算数力を上げるのに効果的な寝る前のちょっとした習慣

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小さい子供がいる家庭では、寝る前に絵本を読んであげるのを習慣にしている人も多いかと思います。うちでは『きかんしゃやえもん』が定番でした。

今回の記事では、寝る前に絵本を読んであげる代わりに数字や図形について話をしてやることで、子供の算数の成績が顕著に向上するという最新の研究について紹介します。

サイエンスによる記事

今回紹介する内容は、アメリカのシカゴ大学心理学科のタリア・バーコウィッズ (Talia Berkowitz)らによる研究に関するものです。最近、彼女らの研究成果が『家での算数が学校での成績を上げる (Math at home adds up to achievement in school)』というタイトルで、世界的に最も権威のある学術誌の一つ、『サイエンス (Science)』に、掲載されていました。

サイエンスの編集者はこのように述べています(以下、この記事内容の引用は全て僕の和訳で紹介します)。

子供の言語能力の獲得は、家庭での保護者による本の読み聞かせによって強化される。しかしながら、算数の能力については、しばしば学校に任されている。(論文著者の)バーコウィッズらは、保護者が家庭でちょっとした算数を扱えるように小型タブレット向けのアプリを開発した。このアプリを数ヶ月使った小学生は、算数の能力が明らかに向上した。成績の向上は、保護者自身が算数に苦手意識を持っている家庭で特に顕著であった。

(by Science Online)

週に一回でも効果あり

この研究では、6,7歳の子供を持つ420の家庭に算数のアプリが入ったタブレットが配られました。これらの家庭では、子供が寝る前にこのアプリを使って、計算、図形、確率などに関係するちょっとした話を聞かせ、それに関する問題を親子が一緒に解きました。

また、これらの家庭の比較対象として、167の家庭では、寝る前に通常の読み物系のアプリを使って、親が子供にお話を読むようにしました。

この2つのグループの子どもたちの算数の成績を一年間にわたって調べたところ、寝る前のちょっとした算数が、予想以上に効果的なことが判明したというのが、この論文のポイントです。

当然ですが、読み物系のアプリでは、算数の成績にあまり効果がありませんでした。一方、寝る前に算数のアプリをやった子供とやっていない子供では、1年間で算数の成績に大きくな差ができ、その差は3ヶ月先まで進んでいるのと同等の開きだったようです。

特に、親が算数について苦手意識を持っている家庭(その家庭の子も算数が苦手になりやすい)ほど、その効果は顕著でした。

また、週に一回の使用でも明確な効果があったんだそうです。

ただし、必ずしもアプリなら何でも良いわけではなく、むしろ、過剰な演出が入ったアプリは逆効果になることもあるようです。

余計なサウンドやアニメーションが入っている凝ったe-booksは、子供の基礎的な読解能力に悪影響を及ぼす可能性がある。

(by Math at home adds up to achievement in school, Science)

ちなみにこの研究で使われたアプリ『Bedtime Math』は、現在のところ英語版しかないようですが、iTunesでダウンロードできます。アプリと言っても派手なアクションなどがあるわけではなく、絵本といった感じです。

数や形を日頃の話題にしましょう

小学生が、週一回でも何らかの形で家で算数に触れれば、算数の能力が上がるという今回の結果は、当然と言えば当然の話で、算数に限らない話かもしれません。

僕が今回の研究の結論と同じく興味深かったのは、この論文の背景部分で紹介されていた、以下の議論です。

算数や空間把握力は遺伝的な要素があるものの、小さな子どもにとって、経験(親が数字や図形ついて話しているのを聞くことを含む)も、彼らの算数の成績にとっては重要です。4,5歳の子供が数字の基礎的な考え方を把握する力は、就学前に親がどれだけ数字について子供に話をしているかに強く影響されます。また、形や空間の特徴(丸、高い、ふち、かど)について親がどれだけよく話をしたかによって、子供たちが幼稚園でどの程度の空間把握能力(算数が得意になるに重要な要素)を持つかが予想できます。

(by Math at home adds up to achievement in school, Science)

最近読んだノーベル賞経済学者のヘックマンによる教育論に関する本にも就学前教育の重要性について触れられていました。

子供の算数、数学の力を伸ばすのに、何も親が専門家である必要はないわけです。

ただ、できれば幼稚園や保育園に入るよりもっと小さいうちから、日頃の生活の中でちょっとづつ、数字や形について子供に話をしてあげることが、算数の能力向上に効果的だということですね。

正直なところ、もう少し前にこの論文を読んでおきたかった、、、