科学論文お墨付きのチョコレートダイエットで簡単に痩せる!

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バナナダイエット、ヨーグルトダイエット、低炭水化物ダイエット。

日本ではいろいろなダイエット方法が定期的にブームになりますが、中には胡散臭い方法もあって玉石混交です。

科学的なエビデンスに則ったダイエット方法を探していたところ、IDH (International Diet and Health)というダイエットと健康に関する国際機関が、「チョコレートは体重を落とすのに効果的」といったプレスリリースを出していました。

論文にもなっている科学的なエビデンス

このプレスリリースのベースになっているのは、Johannes Bohannonらによって書かれた"Chocolate with high cocoa content as a weight-loss accelerator(体重減少を加速させる高カカオ含有チョコレート)"というタイトルの学術論文です。

International Archives of Medicineに投稿されていたこの論文によると、著者らは被験者として選ばれた19から67歳の男女を以下の3つのグループに分けました。

  • グループA: 毎日各自の判断で好きなものを食べる
  • グループB: 低炭水化物の食事に限定
  • グループC: 低炭水化物+チョコレート(カカオ81%)

このような3グループの体重や血液などを数週間にわたって調査した結果、とても面白いことが分かりました。

それは、チョコレートを食べることが体重減少に効果的だということです。それだけでなく、健康を向上させる効果もあったようです。

IDHホームページ

ヨーロッパを中心にメディアでも紹介

このプレスリリースに掲載されたチョコレートによる体重減少効果は、ヨーロッパを中心にいくつものメディアで取り上げられ、一部の新聞ではトップページに紹介されていたようです。

プレスリリース内でも、これは驚きの結果だというふうに書かれていましたが、まさにその通りですね。

ただ、きちんと論文にも載っていることからも分かるように、チョコレートによるダイエット効果は他のダイエット方法と違って、科学的なエビデンスに基づいたものです。

チョコレートで痩せられるというのはある意味ラッキーです。僕もこれまで以上にチョコレートを食べています。

ぜひ皆さんも挑戦してみてください。カカオ含有量が高いというところにもポイントがあるのかもしれません。

ドイツ発の社会実験

そろそろ書いていて後ろめたくなったので白状しますが、チョコレートでダイエットなんてもちろん嘘です。

どうか騙されないでください。

実はこれは、先ほど紹介した論文の著者でもあるドイツのジャーナリストたちが、似非科学ダイエット業界のドキュメンタリーを作する中で行ったちょっと手の込んだイタズラ社会実験なんです。

そもそもIDHなんて組織もありません(なんちゃってウェブサイトはあります)。

先日、このジャーナリストがブログの中で種明かしをしています。

その記事のタイトルは、"I Fooled Millions Into Thinking Chocolate Helps Weight Loss. Here's How.(私はこうやって「チョコレートがダイエットに効く」と沢山の人を騙しました。)"

彼らの意図としては、ダイエットに関するインチキ科学がいかにして簡単にニュースメディアのトップを飾ってしまうのかを確認することだったようです。

このジャーナリストは、チョコレートがダイエットに効くという自身の論文には欠陥があるとしているのですが、実験自体は実際に行われ、論文はその実験で得られたデータを使って書かれています。では、この論文のどこに欠陥があるのでしょうか?

それは、この実験の被験者がたったの15人だということです。それに対し、測定項目は、体重、BMI、コレステロール、血圧、睡眠の質など18に及びます。

このように、多くの項目を少ない被験者数で測定した場合、その測定項目のうちの幾つかは統計的に有意だと思われてしまうような何らかの傾向が得られてしまうところに欠陥があるわけです。

つまり、チョコレートを食べたグループの中に、たまたま体重が減ったという人が多かっただけなのです。

ということは、もう一回同じ実験をしたら、「チョコレートがコレステロールを下げる」や「チョコレートで睡眠が良好に」といった結論になっていたかもしれないということです。

もうメディアには期待できない

このジャーナリストのブログでも触れられている通り、一番問題なのはメディアの態度と能力です。

この論文には、被験者の数や体重減少の定量値など、ちょっと考えれば明らかに疑問に思う重要な点がいくつもあります。それらを論文の著者にきちんと確認することなく、そのまま鵜呑みにして拡散しちゃうメディアは、今後その存在意義が大いに問われるべきでしょう。

なお、彼のブログ記事の最後には、このようなことが書かれています。

この出来事には一つだけ希望の光があります。

それは、メディアのリポーター達が我々の発見を単に受け売りしていたのに対し、読者の多くがこの発見に懐疑的だったことです。

これらのメディアのコメント欄には、本来はメディアがするべき質問がその読者によって投稿されていました。

STAP細胞の騒動の際には、日本のテレビや新聞、週刊誌といった既存メディアがいかに科学に弱く、下世話なゴシップを掘り起こすのに強いかを再確認できたわけですが、メディアにあまり期待ができないとしたら頼れるのは自分だけです。

ちょっと科学的な根拠がありそうなものにも、確信犯かどうかを問わず、嘘が山ほどあります。

なんとか水素水、還元水だとか、プラズマクラスターとか、いわゆるトンデモ科学に騙されないためには、まずは個人の科学リテラシーをあげるのが第一ですが、そもそも「世の中そんなにうまい話は無い」ってことを頭にいれておくべきしょう。