言葉は政治家の最大の武器『Churchill: The Power of words』【ブックレビュー】

Churchill: The Power of Words

 

今年2015年は、イギリスが産んだ偉大なる政治家ウィンストン・チャーチルの没後50周年ということで、TV、新聞、インターネットなど、様々なメディアで、改めて彼の言動や功績が取り上げられていました。

今回紹介する『Churchill: The Power of Words』は、数あるチャーチル本の中でも、彼が最大の武器として利用した言葉の数々に着目した一冊です。

偉大なイギリス人第1位(BBC調べ)

我々日本人にとって、ウィンストン・チャーチルは、数いるイギリスの歴史上の政治家の一人と言った程度の認識ないかもしれませんが、イギリス人にとって、彼は特別な政治家です。

2002年に実施された、『歴史上もっとも偉大なイギリス人(Greatest Briton)は誰か』というBBCの大規模な全国調査では、およそ100万人の投票の結果、以下のような結果になりました。

  1. Sir Winston Churchill(政治家)
  2.  Isambard Kingdom Brunel(エンジニア)
  3.  Diana, Princess of Wales(英国王室)
  4.  Charles Darwin(科学者)
  5.  William Shakespeare(作家)
  6.  Sir Isaac Newton(科学者)
  7.  Queen Elizabeth I(女王)
  8.  John Lennon(ミュージシャン)
  9.  Vice-Admiral Horatio Nelson, 1st Viscount Nelson(海軍司令官)
  10. Oliver Cromwell(政治家)

この調査はちょっと古いですが、これ以外にも類似の調査やランキングでは、必ずといっていいほどチャーチルの名前がでてきます。

ロンドンのマダムタッソ−(蝋人形館)に行くと、数多くの歴史上の政治家がならんでいますが、チャーチルはその中でも一緒に写真を撮りたがる人が絶えないほど、未だに人気があるようです(もちろんベネディクト・カンバーバッチの人気には敵わないようですが、、、)。

首相在籍中にノーベル文学賞を受賞

 

チャーチルは、第二次世界大戦時のイギリスの首相として有名ですが、それと同時に言葉の人でした。もともと新聞社の特派員をしていたという経歴もあり、首相在籍中も、それ以外の期間も数多くの優れた文書、スピーチを残しています。

実際に、彼が著した『The Second World War』は、ベストセラーとなり、首相在職中には、なんとノーベル文学賞を受賞しています(本人はノーベル平和賞にも食指がのびていたようですが、、、)。

チャーチルの伝記は数多くありますが、その中でもよく読まれているのは、元ロンドン市長のボリス・ジョンソンによって書かれたものでしょう。

今回、ボリス・ジョンソンのものではなく、『Churchill: The Power of Words』を推すのは、チャーチルを稀有な政治家たらしめたのが、まさに彼の言葉だからです。

もちろん『鉄のカーテン』スピーチも

『Churchill: The Power of Words』は、彼自身の著作、スピーチ原稿、手紙などの中にある約200の言葉を中心に構成されたものです。

これらの言葉は、その当時の状況、背景とともに時系列で記述されていますので、彼の思想、哲学とともに、1900年代のイギリスやヨーロッパの流れも非常によくわかります。

特に第二次世界大戦前後のチャーチルの発言や記述には多くの紙面がさかれており、戦争中に彼が熱い言葉で国民を鼓舞する言葉や、有名な鉄のカーテン(Iron Curtain)のスピーチなども載せられています。

また、巻末には、関連する地図、参考文献リスト、インデックスがつけられているのも高ポイントです。約700ページという大著ですが、彼の発言毎に区切られており、どこから読んでも問題ありません。

ちなみに、今年(2015年)はチャーチル没後50年ということで、TVでもチャーチルに関する多くの特番が放送されていました。また、2016年には、彼の肖像が、5ポンド札に描かれることが決まっているようです。