五輪エンブレムの盗作騒動ー東京とリオを分けたデザイナーによる説明

2020年に東京で夏季五輪が開催されます。

その予算規模などから今でも反対している人が結構いるようですが、「同じアホなら踊らにゃ損々」ということで、僕としては全力で楽しみたいと思っています。

開催に向けて着々と準備が進んでいるとは思いますが、このイベントに早くもみそをつけてしまったのが、新国立競技場とエンブレム問題です(うまく進んでいるものはニュースにならないというのがツラい所ですけど……)。

佐野さんというデザイナーによる盗作騒動が持ち上がってから、現在でも東京五輪のエンブレムは決まっていない状況ですが、実は一足先に開催されるリオオリンピックでも、エンブレムの盗作騒動がありました。

現在も現地の一部の新聞などがこの盗作騒動に触れる記事を書いているようですが、話題が持ち上がった後にすぐに沈静化され、大きな問題には発展しませんでした。

今回の記事では、このあたりの経緯を含め、なにがリオと東京の五輪エンブレムに盗作騒動を分けたのかについて紹介していきます。

リオでもあったエンブレム盗作騒動

ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで来年開催される夏季オリンピックのエンブレムは、2010年の大晦日に発表されました。今から約5年前ですね(日本だいじょうぶか?)。

エンブレムを作ったのはTátilというリオをベースにするデザイン会社です。選考過程では100を超えるデザインの中から8つが選ばれ、さらにそのファイナリストの中から今回のマークが選ばれました。

それがこちらです。

リオ五輪のエンブレム

リオ五輪のエンブレム (Creation process of the Rio 2016 Olympic Games emblemより)

しかし、エンブレムが公式に発表された直後に盗作騒動がもちあがりました。

アメリカのコロラド州のテルライドファンデーション財団のロゴに似ているという指摘されたのです。

そのロゴがこちら。

似ていると指摘のあったテルライドファンデーションのロゴ

似ていると指摘のあったテルライドファンデーションのロゴ

人が手をとりあってダンスするモチーフだったり、その色使いだったり、どう見ても共通点はあります。

これがパクリと言われたら何も作れない気もしますが、デザインの類似性だけ見れば、日本と同じようにデザイン選考のやり直しなどになってもおかしくなかった気もします。

でも、このケースが日本と違ったのは、問題が出た後の関係者の対応です。

エンブレム制作者のすばやい対応

エンブレムを制作したTátilの代表は、盗作疑惑が取り沙汰されると、「両者が似ていることは否定できないが、それは偶然の一致だ」として、盗作を明確に否定しました。

もちろん、大会の組織委員会も彼らと同様に盗作疑惑を明確に否定し続けました

その後、エンブレムをデザインした制作会社は、エンブレムに込めた思いをあちこちで紹介し、説明することで、騒ぎは沈静化されていきました。

確かに、リオ2016の公式YouTubeチャンネルにあるエンブレムの説明動画を見ると、非常に色々と熟慮に熟慮を重ねたうえでデザインされたエンブレムだということがよく分かりました。

こう感じるのは僕だけではないと思います。

それがこちらの動画です。喋ってる言葉はまったく理解できませんでしたが(ポルトガル語?)、英語の字幕がついています。

短い動画なのでぜひ見てみてください。

デザインに対する納得感

僕にデザインそのものの善し悪しを判断できるほどの美的センスがないのが残念ですが、これだけエンブレムの制作における背景や想い、こだわりを解説されると、やはりデザイナーの強い信念を感じます。

そして、もちろん納得感も得られました。

オリンピックのような大きなイベントのエンブレムになると、どんなデザインにせよ反対する人は必ず出てきます。

また、多くの注目が集まる分、似たようなデザインが見つからない方が難しいでしょう。画像検索の発達もこれに拍車をかけています。

そんな状況でデザインを広く認めてもらうには、デザインそのものに加えて、デザインの背景や意図を言葉で説明できるということが不可欠なんだと思います。

僕は、こういったエンブレムは少なからず現代アートとしての一面があると考えています。

もし何の説明もなしに目の前に便器を置かれたらやっぱりほとんど人には意味が分からないはずです。現代アーティストの多くも自分の作品をあちこちで解説しています。

僕みたいな素人にとって、そういった(特に作者による)説明は、作品を理解して楽しむ上でとてもありがたいです。

もしかしたら、佐野さんや選考委員といった東京五輪のエンブレムのデザイン関係者もきちんと説明をしていて、それを僕が見逃していただけかもしれません。

ただ、やっぱり盗作疑惑後に案を引っ込めてしまったことを含めて、信念がいまいち伝わって来なかった結果、みんなが最後まで納得感を得られなかったんじゃないかと思います。

日本も早くいいエンブレムが決まって、もっと競技や選手に注目が集まる状態になるといいですね。ほんと、ただただそれだけです。