映画インサイド・ヘッド日本版に加えられた変更点(ブロッコリーがピーマンに!?)

Inside Out Read-Along Storybook and CD
ディズニー/ピクサーによる新作映画『インサイド・ヘッド (原題INSIDE OUT)』の評判が非常に良いようです。僕が暮らすイギリスでも、新聞やネットに載っているレビュー欄では軒並み高い評価がつけられていました。

世界的なヒットとなったこの『インサイド・ヘッド』ですが、実は、各国の文化を考慮して、国ごとにちょっとずつ変更が加えられていることを知っていましたか。もちろん日本版にもいくつかの変更点があります。

今回の記事では、『インサイドヘッド』自体のレビューではなく、各国向けの変更シーンについて紹介します。

映画『インサイド・ヘッド』のあらすじ

本題に入る前に、まだこの映画を見ていない人のために、ネタバレにならない程度にプロットを簡単におさらいします。

田舎街で育った女の子ライリーは、父親の仕事の都合で大都会サンフランシスコに引っ越すことになりました。新しい環境でうまくやっていくため、彼女の頭の中にある5つの感情、ヨロコビ (Joy)、カナシミ (Sadness)、イカリ (Anger)、ムカムカ (Disgust)、そしてビビリ (Fear)は、一生懸命働こうとしています。

そんな中、とある事件をきっかけに、ヨロコビとカナシミが、ライリーの言動をつかさどる司令部から脳の奥底へ吸い込まれてしまいます。ヨロコビとカナシミを失い、これらの感情を表現できなくなったライリーはどうなるのでしょうか。また、何の役にもたたないと思われていたカナシミにはどんな役目があるのでしょうか?

続きは観てのお楽しみということで。

アメリカ版と日本版の違い

さて、冒頭でも触れましたが、この映画の一部は、国によって若干の変更がなされています。

下に示した画像は、アメリカ、日本のディズニー公式YouTubeチャンネルの予告映像の中から、親子三人で食事をしている際のお父さんの頭の中を示す映像の部分キャプチャーしたものです。

インサイドヘッドのアメリカ版

アメリカ版のお父さんの頭の中

インサイドヘッドの日本版

日本版のお父さんの頭の中

オリジナルのアメリカ版では、お父さんの頭の中がアイスホッケーで占められているという演出になっていますが、日本版ではサッカーに替えられています。この場面では、日本のみならずアメリカを除くほとんどの国で同様の変更がなされているようです。ちなみに僕が観たイギリス版でも、当然サッカー(イギリス人に言わせればフットボール)になっていました。

別の例を紹介します。オリジナル版では子供がブロッコリーを食べるのを嫌がる場面がありますが、日本版ではこの野菜がピーマンに変更されています。

このシーンは、主人公のトラウマと関連する重要なシーンなのですが、ブロッコリーが欧米の子供が嫌いな野菜の代表格であるのに対して、日本ではそれほど嫌われているといイメージがないため、意味が十分に伝わらない可能性があるという配慮のようです。

確かに、なぜ元々ブロッコリーなのか不思議でしたが、ヨーロッパ人何人かに話を聞いてみたところ、みな口を揃えて「ブロッコリーだけはDisgusting!」と言っていました。

外国映画を理解するのは難しい

今回の『インサイド・ヘッド』場合、「各国の人々にあくまでも自分の物語としてこの映画を観て欲しい」というピクサーの願いが、このディテールの変更につながったのではないかと思います。

そりぁあ世界中でヒットするわけです。

ピクサーの映画は『インサイド・ヘッド』に限らず、各国向けに少しずつ修正を加えているようです。一方、CGアニメ以外ではこういった措置はなかなか難しい場合も多いでしょう。

古い例ですが、映画『ロッキー』で主人公のロッキーがトレーニング期間の食事として生卵を一気飲みするシーンがあります。欧米では生卵を食べる習慣がないので、これは多くの欧米人にとって相当気持ち悪い描写です。逆に言えば、ロッキーは強くなるために極限まで自分を追い詰めているという文脈として描かれているわけです。

ただ、卵かけご飯が大好きな日本人にとっては、それほど強い印象を与えません。つまり、海外で人気の作品を観て、いまいち面白いと思わないのは、個人的な好みに加えて、こういった背景知識や文化の違いに起因している可能性があるわけです(もちろんロッキーが日本人にとって面白くないと言っているのではありません)。

逆に言うと、自分の国とは異なる文化を知るきっかけになるというのも海外の映画を観たり、小説を読んだりすることのの魅力の1つかもしれません。