【魔女の一撃】動けないほど痛いぎっくり腰が治るまでの記録

stretching

急性腰痛症、いわゆる「ぎっくり腰」になってしまいました。

ヨーロッパの一部では「魔女の一撃」とも呼ばれるようです。その呼び名にふさわしく、ありえないほど痛くて、全く動けませんでした。

グーグル先生で「ぎっくり腰 治し方 動けない 日頃の行い」などと検索すると、原因や対処法についてまとめられたサイトや個人が自分の体験について書いている記事がいくつも見つかりました。

どれも参考になり、とても励まされました。

そこで今回の記事では、今まさにぎっくり腰から回復しつつある僕が、「ピキッ」ときた時から現在までの様子を日記形式で記録しておきます。

ホントに悪夢のような経験だったので、ぎっくり腰を予防するためには、今後あらゆる努力をしようと思っています。

ただ、喉元すぎればなんとやらで、時が経つとそのモチベーションも下がってしまうかもしれません。

そんな時にはこの記事を自分で見なおして、ぎっくり腰の恐ろしさを再確認したいとも思っています。

もちろん、現在ぎっくり腰に悩んでいる誰かの参考になれば嬉しいです。

無駄に長いでご注意ください。

地獄篇:ぎっくり腰発生一日目

ぎっくり腰発生直後

7:30

起床。少し寝坊。一週間前にひいた風邪もようやく良くなってきた。明後日からの旅行も問題なさそう。

8:30

子供たちが妻に連れられて小学校、幼稚園へ。家族を見送った後、シャワーを浴びるため、下着を取ろうと立ったままタンスの下段に手を伸ばしたところ、腰に「ピキッ」と電気が走る。

ぎっくり腰はよく「ピキッ」と表現されるが、本当にこれ以外の言葉が見つからないほどはっきりとした「ピキッ」。

腰はやや痛むものの、歩くのも問題ないので2階にある浴室へ。

8:40

シャワーがちょっとぬるく、思わずくしゃみ。それと同時に「ピキッ」が10分ぶり、2度目の出場。

片膝を立てた状態でうずくまる。あまりの痛みに全く身体を動かせず、ターミネータT-800の登場シーンの状態のまま5分ほど経過。

身体がどんんどん冷えてくる。なんとか手を伸ばしてシャワーを止める。激痛は続き、再びT-800のポーズ。

8:50

なんとか両腕を浴槽のふちにかけるも、そこから動けない時間が続く。痛みのため、「はぁ、はぁ、はぁ」と呼吸も早くなる。

両腕を手を伸ばし上半身を浴槽の外へ。あまりの痛さにその後しばらく動けず。

刻々と奪われていく体温。生まれたままの姿、もといありのままの姿だが「少しも寒く無いわ。」なんて嘘。

9:30

お尻を高く上げると痛みが小さくなることが分かり、挑発的なグラビアアイドルのようなポーズに。

この時間になっても妻が帰ってこないということは、子供を学校に送ったあと買い物にでも行っている可能性が高いと判断。自力で何とかするしか無いと決意。

9:40

痛みが落ち着いてきたこともあり、意を決して浴槽から出ようと膝を浴槽のふちへかけたところ、再び強烈な魔女の一撃で脱衣所に転がり落ちる。

救急車を呼ぶことを真剣に考えるが、携帯が別の部屋にあることに気づく……

脱衣所での魔女との戦い

10:00

寒さに耐えられず、一度脱いだ服を着ようとトライ。上半身はすぐになんとかなったものの、パンツに苦戦。足首は何とか動かせるので、足の指をしゃくとり虫のように動かしてパンツに足を通す。

手を伸ばしてパンツをお尻の下の部分にまで持ってくることに成功 ただし腰が上がらないのでそれ以上は無理と一時断念。長期戦が予想される中、無理は禁物という冷静な判断をくだす。

10:30

何度か携帯が鳴っていたこともあり、脱衣所からの脱出を目論むも扉が内開きなこともあり、姿勢をかなり変えないと出られない。

まず力が入らないので、身体を滑らすことができない。身体と床の接触面にかかる垂直荷重を減らそうと手を浴槽のふちにかけたところ、魔女から痛恨の一撃!

あまりの痛みに脂汗が出ているのが分かる。

10:40

寝返りを打ちながら最適な姿勢を探すもその間に痛恨の一撃を複数被弾。最初の「ピキッ」からこの時点までに、100回以上は「イタイ!」と叫んでいる。

叫んでも、一人。

11:30

ドンドンと誰かが階段をのぼる音で目が覚める。どうやらあまりの痛みに脱衣所で気絶していたようだ。

脱衣所で倒れている僕を見て「ギャッ!」と悲鳴をあげる妻。事情を説明するとなぜか「キャキャキャ」と笑う。

身体を捻れないので脱衣所から出られない状態が続くが、携帯を持ってきてもらって少し気持ちが落ち着く。

ぎっくり腰に関してググッてみると、腰痛は時間が治してくれるので、病院には行かなくてよいという説明が多い。とりあえず市販の痛み止めの薬を1錠。

仰向けで膝を軽く曲げた姿勢か、横向きになって背中を軽く曲げた海老の姿勢を交互に繰り返す。

12:00

痛みがひかないので、痛み止めを1錠追加。妻がタオルを巻いた保冷材のようなものを持ってきてくれる。

しばらく腰に当てていたが、だんだん尿意がせまってきたため外す。

13:00

相変わらず脱衣所で仰向けのまま。妻が持ってきてくれたおにぎりを食べる。

携帯でぎっくり腰に関する勉強。自分の症状はネットで見つかる多くのぎっくり腰の症例の中でもヘビー級であることが分かる。痛み止めを1錠追加。

妻がたまに覗きに来ては「キャキャキャ、早く出てきなよー」と。出られるなら出てる。

子供のお迎えに行くという妻に薬局で腰のバンドを買ってくるように頼む。

脱衣所からの脱出

15:30

妻と子供が帰宅。心配そうに声をかけてくれる娘。それを見て妻が「キャキャキャ」。娘が妻に「笑っちゃダメ!」と怒るも、妻は「そうだよね。笑っちゃいけないよね。でも笑っちゃう、キャキャキャ」と。笑ってはいけないぎっくり腰。

15:40

買ってきてもらったベルトを装着。腰が動かせないのでなんども左右に寝返りを打ちながら、腰に巻く。

マジックテープで止めるだけの普通の腰痛ベルトだが、これが効果覿面。稼働できる身体の範囲が一気に広がる。最強の防具を手に入れた気分。

16:00

モゾモゾしながら、ついに脱衣所からの大脱出に成功。ただし、この間も魔女の攻撃は続いており、蒼白になった顔面には脂汗と涙がにじむ。

16:30

廊下で戦士の休息を楽しんだのも束の間、今度は尿意が襲ってきた。景気付けに痛み止めを1錠追加し、トイレに向かって匍匐前進を開始。

匍匐前進といっても自衛隊員のたくましいそれではない。全身に細心の注意をはらいながらおそるおそる動いているので、数mの距離に5分もかかる。まるでイライラ棒の棒になった気分。

16:35

トイレに到着。子供用のステップがあったので、便座の前に置いてもらう。

まずステップに両腕を載せる。そして便座に両腕を載せるも、その後どうすべきか分からなくなる。少しでも動いたら、あの魔女が攻撃してくるのは明らか。

意を決して腕の力で身体を持ち上げお尻を便座の上に。横の壁を向いて座る形だが、この際どうでもよい。便座に座るとこまでたどり着いているのに、腰が浮かせられず、パンツが脱げないことに気がつく。

「身体は正直」とはよく言ったもので、便座に腰を置いたとたんに脳からの膀胱に"Ready"の信号。尿意は臨界域へ。脱げないパンツ。否が応にも高まる緊張感。

まずは半尻状態にまで持っていき、こんどはその半尻部分にに重心をかけ、パンツを膝まで下ろすことに成功。ギリギリで事なきを得た。

あと5秒遅かったら、夫、父親としてこれまで築きあげてきた威厳を全て失うところであった。仮にそんなものがあったとしたらの話だが。

16:50

安心と同時に油断したのか、ここで再び魔女の攻撃。便座の上で悲鳴をあげるも、ベスポジがなかなか確保できずに便座の上で「痛い痛い」を繰り返す。

心配して様子を見にきてくれた娘の手には杖が。実は妻がベルトと一緒に買ってくれていた。見事なツンデレ。

杖を片手に持ち、ステップを使いながらなんとか便座から降りる。ちなみにこの時点ではパンツは膝まで降りており、お尻は丸出し。

魔女との戦いで疲労困憊ではあるものの、なんとか寝室までたどり着く。当然ベッドにあがる気力はなく、今夜は床で過ごすことを決める。

18:00

妻が夕飯をお盆に乗せて寝室に持ってきてくれる。まるで引きこもり少年の食事。リビングで妻と子供が談笑する様子を遠くに聞きながらさびしいご飯。

夕食後、2歳の息子がひょこひょこと寝室へ来る。いつもと同じように僕の上に乗っかってこようとする気配満々だったので、あらん限りの声で「ノーぉぉぉ!」と叫ぶ。

異常な事態であることを察してくれたのか、トボトボと寝室から去っていく息子。

「ごめんよ。」

でも、元はと言えば、彼にせかされるままにやっているアクロバティックな「たかい、たかい」が今回の悲劇の間接的な要因なのかも。

19:30

就寝しようと電気を消してもらうも、やはり30分に一度くらい襲う痛みになかなか眠れず。特に咳が出た時の激痛に悩まされる。

煉獄篇:ぎっくり腰発生二日目

時計は24:00をまわり、ぎっくり腰二日目に突入。

自分との戦い

1:00

うとうとしていたものの、痛みと尿意で目がさめる。ふと横を見ると、空のペットボトル。一瞬迷ったが、勇気を振り絞ってトイレに行くことをきめる。

トイレまでが遠いが、ちょっとずつ。テレビから出てくる貞子のように。

1:10

トイレ前に到着。ただし今回はステップがない。匍匐前進の状態から両手を便座にかけ、腕の力だけで身体をもちあげようとしたところで、痛恨の一撃。

床に転がり落ち、海老の姿勢をとるも痛みは消えずに深夜の雄叫び。

「痛いってレベルじゃねーぞ、これ!」

HPは限りなく0に近く、再チャレンジの気力もない。あまりの痛さに尿意が飛んでいったことだけが不幸中の幸い。

その後、便座前でしばらく安静にしたのち、寝室に戻る。

8:00

痛みで何度か起きたものの、気がついたら夜があけていた。あけない夜はないことを実感。

娘がサンドイッチとフルーツを持ってきてくれるも痛みのせいか食欲がない。さらに、尿意が湧き上がってきたが、トイレに行く気力もない。

昨晩の痛みに対する恐怖は羞恥心を完全に奪い去るほどで、息子が使っているオムツをもってきてもらうように娘に頼む。いざとなったら、これを股にあててやってしおうと。

多くの自問自答を繰り返しながらも、結局はトイレに行くことを決意。ただし、保険として手にはしっかりとおしめを握る。

事前にステップを準備してもらっておいたことも奏功し、一度だけ魔女の攻撃を受けて悶絶するも、無事に完了!自分で自分を褒めたい。

情けない父親

12:00

午前中は、時々寝返りした拍子に激痛がはしったものの、概ね安定。ただし、動いていないこともあってあまり食欲がわかず、昼食は妻のおにぎり一つ。

仕事に関するメールをチェックする気も起きず、Kindleに溜まっていた本をひたすら読む。

15:30

子供たちが帰宅。昨日あんなに心配したくれた娘も、帰宅の挨拶をしてくれただけで、僕の寝室には寄り付かなくなった。

やはり、おしめを持ってきてといった情けない父親の姿に愛想をつかしたのか。

「一言だけ、一言だけ言わせてください。おしめは使ってない。お父さんは男の中の男だ。」

16:00

再びトイレへの旅。これまで匍匐前進しかできなかったのに、俗に言う生まれたての子鹿状態から四つんばいに、そしてハイハイもできるように。

ステップは使ったものの、一度も激痛に襲われることなく完了。

19:00

夕飯は引き続き引きこもり少年スタイルで。椅子に座れるんじゃと思ったがそれはできず。

その後は、ベッドに登頂することに成功。なぜ登るかって?そこにベッドがあるからです。

20:00

息子がお休み前の挨拶にくる。状況を完全には把握していないようで、ベッドに横たわる僕の上に腰を掛けようとする。全力で拒否すると、息子は黙って自分の部屋へ戻っていった。

「戦闘力……たったの1か……ゴミめ。」

彼の心の声が聴こえた。

天国篇:ぎっくり腰発生三日目以降

crawling baby

二日目を終え、いつになったらまともに活動できるのか不安に思っていたが、転機は思ったより早く訪れた。

回復に対する確実な手応え

夜中に一度起きるも、よく眠れた。

三日目の朝になっても、立ったり、座ったりはできないが、痛みは確実に減っている。

学校に行く前の子供から「お大事に」と同情の声掛け。妻からも「大丈夫?」との言葉があったが、その顔には若干の笑みが。ふと、江戸川乱歩の「芋虫」を思い出す。

夕食時、仰向けに地面を這いながら階段をおりてみる。無事に一階に到着。家族と一緒にダイニングの椅子に座ることはできず、リビングの低いテーブルでぼっち飯。

夕食後は、座ったまま腕の力を使って階段をのぼり、ベッドまで到着。ぎこちなく階段をのぼる情けない姿を笑いながら写真におさめる妻。

横になってると痛みはほぼ無いものの、咳をすると相変わらず青いイナズマが僕をせめる。しつこい女は嫌いだ。

這えば立て、立てば歩めの親心

四日目の朝はステップ無しでトイレに。尾籠な話で恐縮だが、不思議とぎっくり腰発生からこれまで、大をもよおさないので助かっている。活動量、食事量が少ないからか。

調子に乗って杖で立ってみる。「ハイジ…私…立てたわ!」と一人で感動。

「這えば立て、立てば歩めの親心」とはよく言ったもので、立てるとなれば歩いてみたくなる。

杖を使って歩いてみると、意外とすんなり歩ける!人類にとってはただの一歩だが、僕にとっては大きな一歩。

浴槽から這い出し、トカゲのように這って動く状況から、四つ足でハイハイをし、そして遂に二本足で歩けるまでに。ここ数日で生物の進化の過程を一気に体現。

そして、一階のダイニングで椅子に座れるようにも。これは家族と一緒に御飯が食べられるという意味で非常に大きい。

夜は調子にのってビールで晩酌。3日連続で休肝日を設けたのなんていつ以来だろうか。ただただうまい。

妻とも談笑。「痛い痛い」とうめく様子をバカにされるので、どれだけ痛かったかを丁寧に説明。

妻も数年前にぎっくり腰を経験しているので、その痛み自体は理解している様子だったが、

「出産の痛みに比べたら全然マシ。」

この一言で僕は何も言い返せなくなった……

ぎっくり腰を治すには安静にするしかない

現在は、ぎっくり腰発生から六日目。断腰亭日乗はここまでです。

上に書いた日記はその時々で携帯にメモした内容をもとにしていますが、腰は確実に回復していて、今は椅子に座って愛用のMacBookを使ってこの記事を書くことができています。

今回の経験を通じて感じたのは、とにかくぎっくり腰をナメてはいけないということです。これまで腰が痛いと思ったことは時々ありましたが、魔女の本気がここまでえげつないとは知りませんでした。

この数日間で、ぎっくり腰については色々調べたので、原因や対策については別途記事にしようと思っています。

ただ、ネットで調べたり、自分が経験してみて分かったのは、ぎっくり腰にはこれといった原因はないということです。

運動不足や長時間のデスクワーク、猫背、腰に負担がかかる作業、運動不足、ストレス。

どれもぎっくり腰の原因の代表例と言われますが、こういった行動や習慣が皆無という人なんていません。それでも、ぎっくり腰になる人、ならない人がいます。

もう交通事故みたいなものかもしれません。

また、ぎっくり腰を解決してくれるのは、数日間安静にすること以外にないようです。

お仕事がある人も、交通事故にあったと思って数日間は出来る限り安静にすることをおすすめします(そう簡単に休めない仕事をしている人も多いのは承知の上です)。

僕の場合、もともとここ数日間はプライベートで旅行をする予定だったので、仕事は休む段取りをくんでいました。無理して仕事に行かなくても良かったというのはとてもラッキーでした。

もちろん航空券のチケットがおじゃんになるという出費は痛いですが……

さて、ここまで読んでくださっているのは、今まさにぎっくり腰で悩んでいる方や、過去にこの恐怖を味わった人が大半だと思います。

長文にお付き合いいただきありがとうございました。あなたがこれ以上魔女に襲われないことを祈っています。そして願わくば僕自身も……