リオオリンピックの公式エンブレムに込められた思いが凄い

楽しみにしている人も多い2020年の東京オリンピックですが、まずはその前にブラジルのリオで夏季五輪が開催されます。ジカ熱や治安に対する不安が払拭されていませんが、参加する選手、観客、ボランティアのみんなが楽しめる大会になってほしいですね。

前回の投稿では、リオと東京で共にもちあがったエンブレムの盗作騒動について紹介しました。個人的には、デザイナーが自分自身の説明によって国民に「納得感」を与えられたかどうかというのが、同じように盗作騒動が持ち上がった東京とリオの状況を大きく分けたように思います。

今回の投稿では、このリオ五輪のエンブレムそのものについて、もう少し詳しく紹介したいと思います。一つのエンブレムにものすごい沢山の思いや情熱が込められていることが分かってもらえるはずです。

「東京五輪のエンブレム問題に物申す!」というのではなく、リオのエンブレムについて調べてみたら、多くの考慮を重ねて作られたデザインであることが分かったので、その感動をシェアしたいというのが今回の記事のねらいです。

Tátilがデザインしたエンブレム

まずはリオ五輪のエンブレムを見てもらわなければ話がはじまりません。こちらが公式のエンブレムです。

リオ五輪のエンブレム

リオ五輪のエンブレム (Creation process of the Rio 2016 Olympic Games emblemより)

このエンブレムを制作したのはTátilというブラジルのデザイン会社です。前の記事でも触れたように、このデザインが公表された当初に盗作騒動がおきましたが、この会社代表や組織委員が丁寧な説明を続け、この騒ぎはすぐに沈静化しました。

その経緯についてはこちらの記事で紹介していますので、興味がある人は読んでみてください。

参考記事:五輪エンブレムの盗作騒動ー東京とリオを分けたデザイナーによる説明

さて、この制作会社がエンブレムに込められた思いをいろんなメディアで紹介しているんですが、それを見るとさすがに五輪のエンブレムだけあるなと感動してしまいます。例えばこちらの動画(英語字幕あり)。

リオオリンピックのエンブレムに込められた想い

とにかく驚いたのが、そのエンブレムに込められた想いの量です。「どんだけ込めたら気が済むねん!」というくらい、様々な想いが込められまくられまくっています。

エンブレムに込められた想いについては、動画でも少し触れられていましたが、リオ2016の公式サイト(英語)にまとまった情報が載っていたので、そちらをベースに紹介します。

カタカナ成分が多めで読みにくいかもしれませんが、全部日本語にするともっと読みにくいのでご容赦ください。

まず、このエンブレムには2つの大きなキーワードがあります。それは、「パッション」と「トランスフォーメーション」です。

パッション、トランスフォーメーションは直訳すればそれぞれ情熱と変化といったところでしょうか。どこぞの美容外科のCMを思い起こさせますが、「リオオリンピック、パラリンピックを成功させるためにブラジル全体が情熱を持って変化しよう」といった想いが込められているようです。

エンブレムに込められている想いは、もちろんこれだけじゃありません。この2つのメインキーワードとは別に、さらに4つの柱となるテーマが設定され、さらにその柱の中にそれぞれ2つのキーワードが設けられています。以下順に紹介していきます。

伝染するエネルギー

セレブレーション

熱いパッションで生命を祝い、暖かい歓迎の輪を広げる。忘れられないような素晴らしいリオ、そしてブラジルに。

楽天主義

希望と情熱によって、自らの尊厳を高め、より遠くまで羽ばたけるような明るく力強い将来。

オリンピックスピリット

アチーブメント

喜び、モチベーション、エネルギーとともに、限界を超え、困難を克服する。

エクセレンス

インスピレーションと洗練さを併せ持つことで、クオリティ、明るさ、ディテールへのこだわり、そして自発性の調和を目指す。

豊穣な自然

インスピレーション

リオの空と海に代表されるような豊穣な自然やカリオカの幸福感を反映させる。

サステナビリティ

自然の叡智から得た姿や色を尊重し、この星の未来の大いなる遺産としてサステナブルな文化を促進する。

調和した多様性

統合

思想、民族、人種、文化といった多様性の調和的な混合を尊重する。

若いスピリット

若い力、溢れるエネルギー、熱狂によって全ての年代を引きつけ、インスピレーションを与える。

 

いやいや、1つのエンブレムに想い込めすぎでしょ……。でも、確かにセレブレーションっぽい感じはあるし、その色からは大地や空などの自然を感じることもできます。異なる色の3人が手をつないでいる様子からは調和した多様性が表現されているようにも見ることができます。

説明されてみれば、美的センスのない一般国民の僕でもそれなりに理解できる部分が沢山あって、ただただすごいなあと感心してしまいました。

こんなことも考えてできたエンブレム

実はリオ五輪のエンブレムのこだわりはこれだけじゃないんです。上で紹介した想いに加えて、こんなことも意識して造られたデザインになっています。

エンブレムが三次元化される

3D化されるエンブレム(Lançamento da Marca Rio 2016より)

3D化されるエンブレム(Lançamento da Marca Rio 2016より)

平面のエンブレムを見ている段階でも奥行きを感じるデザインですが、実際に三次元での造形が考慮されています。オリンピック史上、三次元化を考慮してデザインされたエンブレムは初だそうです。過去最悪のデザインとの呼び声も高かったロンドン2012の平面的なデザインとは真逆です。

オリンピック開催前後にはエンブレムを象ったおみやげがブラジルのいたるところに沢山並ぶことでしょう。もしかしたら、ここまで考慮したデザインなのかもしれません(考えすぎ?)。

リオの名所「シュガーローフマウンテン」

リオのエンブレムに現れるシュガーローフ

リオのシュガーローフマウンテン (Creation process of the Rio 2016 Olympic Games emblemより)

リオ・デ・ジャネイロの南部には、シュガーローフマウンテンという山があります。砂糖パンに似ていることから名付けられたそうです。ロープウェイで頂上に登ると、リオ全体を見渡せることもあり、この街一番の観光名所になっています。

今回の五輪エンブレムには、このシュガーローフマウンテンも一つのモチーフとして取り入れられています。この山を横から見た形が、エンブレムの上側の曲線の形に対応するようになっています。

アルファベットの「RIO」がモチーフ

エンブレムに現れるRIOの文字

エンブレムに現れるRIOの文字 (Creation process of the Rio 2016 Olympic Games emblemより)

YouTubeの動画でも紹介されていましたが、このロゴマークには「RIO」のアルファベット3文字が含まれています。

ちょっと無理やりの気がしなくもないですが、言われてみれば確かにそう見えます。

今回伝えたかったこと

東京五輪のエンブレム騒動が持ち上がった時に、色んな人が自分のデザイン案をネットにアップしたりしていました。実は僕もそれを見て、ちょっとデザインしてみようかなあと思ったこともあります。ただ、リオ五輪のエンブレムに込められた多くの人の情熱を知って、デザインってのはそんな簡単なものじゃないんだなあってことが分かりました。

さて、今回の投稿で伝えたかったのは次の3点です。

  1. リオ五輪でもエンブレムの盗作騒動がもちあがっていた。
  2. このエンブレムは沢山の思いが込められた素晴らしいデザイン。
  3. 頑張れ!日本代表!

東京オリンピックのエンブレムがどんなものに決まるか分かりませんが、今から楽しみですね。

それではまた。See you soon!

***2016年5月10日***

東京のロゴが決まりました。今回決定した市松模様も、一見シンプルなかんじですが、いろいろ考えぬかれたデザインみたいですね。今後はエンブレム問題が落ちついて、競技や選手に関するポジティブで楽しい情報が増えることを期待しています。頑張れニッポン!