ギネスが認定した世界最小のサイエンス映画を知っていますか?

atom

「半導体の集積密度は18から24カ月で倍増する」というムーアの法則が提唱されてから今年の4月で50年を迎えました。

話はすでに原子レベル、さらには量子力学のレベルになっています。ただ、じゃあ原子がいったいどんな物なのか、いまいちイメージがつかめないという人も多いじゃないかと思います。

それもそのはずです。普通、原子は目に見えないから。

今回の記事では、そんな原子が動いて活躍する世界最小の映画について紹介します。

IBM研究所による世界最小の映画

世界最初の映画というのは、IBM研究所によって約2年前作られた動画です。わずか1分半の短い動画ですが、世界最小の動画としてギネスにも認定されています。

この映画はこんな説明で始まります。

These are atoms. Mgnified over 100 million times.

At IBM Reserach, we move atoms to explore the limits of data storage.

To explore the limits of filmmaking, we created the world's smallest movie.

It was made by moving actual atoms, frame by frame.

IBM Research presents

A BOY AND HIS ATOM

これらは原子です。1億倍以上に拡大されています。

IBM研究所では、原子を動かして、データ保存の限界に挑戦しています。

そして、映画製作の限界に挑戦するため、世界で最小の映画を創りました。

この映画は、1フレームごとに本当の原子を動かして作られています。

IBM研究所が贈る

『ある少年と彼の原子』

それでは、 IBM自身によってYouTubeにアップされているこの動画をご覧ください。

これは本当に1個1個の原子を動かして動画にしているので、文字通り世界で最小の動画と言えると思います。

走査型トンネル電子顕微鏡

原子の操作、観察には走査型トンネル電子顕微鏡(STM: scanning tunneling microscope)と呼ばれる装置を使っています。これは、非常に小さい金属針を走査(スキャン)して、針とサンプル間に流れる微弱な電流の変化を解析することで、サンプルの形状を把握できる装置です。

ちなみに、この装置は今や大きな大学や企業の研究所などには普通にある装置ですが、もともと開発に携わったIBMのゲルト・ビーニッヒ(Gerd Binnig)とハインリッヒ・ローラー(Heinrich Rohrer)は1986年にノーベル賞を受賞しています。

この映画では、STMを使ってサンプル(銅の単結晶)を観察すると同時に、原子を動かしています。

そのあたりの情報について、IBM東京基礎研究所の方が一般向けに解説してくれています。非常によくまとめられた分かりやすい動画なので、ぜひ見てみてください。

こんな良い動画の再生回数が800回なんて残念すぎる……。

ムーアの法則はいつまで守られるのか

最近では、いよいよムーアの法則も限界が見えたという声が大きいですが、こういった話はこの10年の間にも何度もありました。

その度にその懸念を払拭し、未だに多くの技術者のモチベーションになり続けています。

とはいうものの、やはり既に原子のレベルに足を踏み込んでいるわけで、例えば10年後にこの法則がまだ現役でいるためには、なんらかの大きなパラダイムシフトが必要なのは間違いないでしょう。

低迷が続く日本の半導体業界にも、是非もう一旗あげてもらえたらと願っています。