日本人がネイティブの英語を目指すべきではない理由

「ネイティブはそんな言い方しない」「そんな発音ではネイティブに笑われます」「ネイティブが使うフレーズ100選」などなど。英語関係の本やウェブサイトにはこんな謳い文句があふれています。もう、正直うんざり。

海外で暮らしながら日頃から英語で仕事をしている経験から言えるのは、僕達日本人がネイティブの英語を目指す必要は全くないということです。こういったネイティブ英語に対する信仰は、むしろ多くの弊害すらあります。

今回の記事では、多くの日本人が陥りがちなネイティブ英語信仰がなぜダメダメなのかをお伝えします。

そもそもネイティブの英語ってなに?

people-in-the-worldネイティブの英語ってなんでしょう?

アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア。どの国も英語圏ですが、みなさんもご存知のとおりそれぞれ違う英語を話します。

例えば、イギリス英語とアメリカ英語では違う単語が山程あります。Trousers vs Pants、Petrol Station vs Gas Station、Aubergine vs Eggplantなどなど数え上げたらきりがありません。YouTubeで、"American English British English"などと検索すると、両英語の違いを説明する動画が山ほどヒットします。

同じ単語でも発音が違うことも多々あります。例えば、誰もが知っている"water"という単語。下のリンクからアメリカ英語とイギリス英語を較べてみてください。発音が全く違います。

参考サイト: the Cambridge English Dictionary "water"

日本人の苦手なあのにっくき巻き舌(?)の"r"は、イギリス英語ではほとんど発音しません。でもどちらも正しい発音です。

上ではあえてイギリス英語という表現をしましたが、イギリス内でも英語はかなり違います。スコットランド人とイングランド人の英語に大きな差があるのはもちろん、イングランド内でもかなりの地域差があります。

引き続き"water"を例をとると、マイ・フェア・レディでもおなじみのロンドンの下町英語コックニーでは"t"も発音しません。カタカナで無理やり書けば、"ウォア"になります。

キャメロン元首相などが典型的ですが、イギリスで高い地位にあったり、オックスフォードやケンブリッジ等で教育を受けている人に好んで使われてる英語にRP(Received Pronounciation)があります。このRPは、一般的に「正しい」あるいは「標準的な」イギリス英語と言われています。でも実際にイギリスでこのRPを使っているのは人口の3%と言われています。今やBBCニュースのキャスターの中にも、RP以外の英語を話す人はたくさんいます。

このようにイングランド内だけでも多様な英語があるわけで、他の国を含めればネイティブがしゃべる英語というのが非常に幅広いということが分かってもらえるかと思います。英語には基本的な型はあるものの、様々な面で多様性を許容しているということを知っておいて下さい。

というわけで「The ネイティブ英語」なんてものは存在ないのですが、ここではアメリカ人やイギリス人などの英語圏の英語をひとくくりにまとめてネイティブの英語として話を続けます。

人前で英語が話せなくなる

日本人のネイティブ英語信仰の中でも一番の弊害とも言えるのが、綺麗な発音を意識しすぎて英語がしゃべれなくなることです。

最近では海外で活躍する日本のスポーツ選手も多く、YouTubeなどでは彼らが英語でインタビューに答えている動画なども沢山見ることができます。驚くのが、そういう動画に「rとlの発音が変」、「教養あるネイティブはそんなに"You konw"を使わない」、「◯◯という言い方は教科書英語」うんぬんの批判のコメントを残す人が多いこと多いこと。

頼むからやめてくれ。こういう風潮が日本人を更に英語から遠ざけています。

英会話の勉強をしている人なら、同じ日本人の前で英語を話すのが恥ずかしいと思ったことはないですか?周りの人になんか自分の発音だったり言い回しが変だと思われるんじゃないかと。

そんなの全然気にする必要はありません!伝わりさえすればいいんです。発音やイントネーションはあくまでも伝えるための武器でしかありません。

ネイティブを目指すのは非効率

そもそも、いくら英語を一生懸命勉強してもネイティブのようにしゃべることはできません。たとえ英語圏で数年間過ごしても同じです。

逆のパターンを想像してもらったら話が早いかと思います。外国人タレントやスポーツ選手。みんな日本で全く問題なくコミュニケーションをとっていますが、その日本語にはやはり独特のアクセントがあります。これは、来日してから何年、何十年になる人にも当てはまります。ネイティブのように話すというのは、それだけ難しいことなのです。

発音やアクセントの他にも、語彙力や表現の幅についても同じです。難しい言葉、いい回し、ことわざなどがあるのは日本でも英語でも同じです。これをネイティブ並にするというのは、英語を専門に勉強する人を除いてまず不可能です。

ネイティブにはなれなくても、少しでもネイティブに近づこうという努力するのが大切だという考えもあるかもしれません。ただ、その道はあまりに非効率です。

語彙力アップとスピーキングの慣れ

英語を勉強する目的ってなんでしょう?ビジネスで必要不可欠だったり、海外旅行をもっと楽しむためだったり、海外の情報にアクセスするためだったり、人によって様々な思いがあると思います。でも、共通して言えるのは、英語はあくまでもコミュニケーションツールに過ぎないということです。

多くは、仕事だったり他の勉強だったりに追われている中で英語を勉強しているんだと思います。そんな限られた中で効率よく英語力をアップさせるためには、やることとやらないことをしっかり取捨選択することが不可欠です。

じゃあ何が必要かといういうと、語彙力を上げることとスピーキングに慣れることです。日本人と英語を使う非ネイティブ(イギリス以外のヨーロッパ人など)を比べるとはっきり分かりますが、日本人には語彙力と慣れが圧倒的に欠けています。

逆に言えば、これらを意識的に学んでいけば、英語でのコミュニケーションは非常に楽になります。単語力アップのテクニックやスピーキングの訓練方法は、別の記事で具体的にまとめているので、ぜひ読んでみてください。

参考記事:10000語の英単語を覚えるための戦略とテクニック【保存版】

参考記事:英会話のスピーキングが劇的に上達した効率的な3ステップ勉強法

今回伝えたかったこと

「ネイティブのように英語を使えないとダメだ」という文句で学習者を焦らすのは、日本人の英語コンプレックスを利用してお金儲けをしようとしている人たちです。

英語はコミュニケーションのツールでしかありません。ネイティブのような英語を意識しすぎずに、伝わればOKという軽い気持ちでいいんです。

ということで、今回伝えたかったのは次の3点です。

  1. 英語は多様。ネイティブの英語なんてものは1つじゃない。
  2. ネイティブの発音や言い回しを目指す前に、語彙力アップとスピーキングに慣れることが大事。
  3. べ、別に、帰国子女に嫉妬しているわけじゃないんだからね!!

それではまた。See you later!