英ケンブリッジ大学で学んだ英語論文を書くときの注意点

writing a paper先日、パソコンの中身を整理していたら、昔大学で受けた講義やトレーニングのメモが色々と出てきました。

僕が所属しているケンブリッジ大学では、オフィス系ソフトやプログラミング言語、外国語、プレゼンスキル等々、ものすごい数のトレーニングコースが用意されています。

これらの多くは、学生と職員(ポスドクなど)を対象にしていて、自分の学科で受ける通常の講義などとは異なり、学内メンバー全員に公開されています。

今回の記事では、僕が過去に受けた科学論文の書き方に関するコースで学んだ内容の中から、日本人が英語で論文を書く時に戸惑ったり、間違ったりしやすそうな注意点を紹介します。

普段から英語で論文をバリバリ書いている人にとっては、「何を今さら」という内容かもしれませんが、当時の僕がそうだったように、それほど英語を書き慣れていない人にとっては役にたつ情報もあるのではないかと。

一般的な注意事項

まずは基本的なところからです。

  • 基本は受身形。
  • 可能な限りシンプルな単語を使う。 正)start/end 誤)commence/terminate
  • 可能な限りシンプルな表現を使う。 正)Probably ... 誤)There is a reasonable expectation that ...
  • "DNA"などのabbreviation(略記)を使うときは必ず最初に出てくる際に説明を加える。ただし、こういった略記表現は、使わなくてすむ場合は極力使わないようにする。
  • 専門知識を共有する人(同じグループの人)が読んで分かる用語ではなく、その分野の一般知識を共有する人(同じ学科の全ての人)が理解できる言葉を使う。

間違いやすい所

勘違いしやすい所です。

  • 実験結果は過去形で報告する。
  • "data"は複数名詞。正)These data are ...  誤)This data is ...
  • 元素名をフルネームで記載するときは、文の先頭でないかぎりは大文字で始めない。正)xenon 誤)Xenon
  • イギリス英語とアメリカ英語はどちらでもよい。ただし、どちらかに統一する。
  • いかなる理由があってもスペルミスをしない。スペルチェッカーを使うこと。

スペースのルール

日本人にとって意外に難しいのがスペース(空白)の決まりです。特に単位の前後など、非常細かい点ですが気をつけましょう。

  • ピリオドやコンマの後にはスペースを挿入する。
  • 開括弧"("の後、閉括弧")"の前にはスペースを入れない。
  • 数字と単位の間にはスペースを入れる 正)100 K 誤)100K
  • 複数の単位がつく場合はその間にスペースを入れる。 正)100 N m 誤)100 Nm
  • 数式中の加減乗除の記号の前後にはスペースを入れる。 正)m + n 誤)m+n
  • 負の数を表す"-"の後にはスペースを入れない。 正)-10 s 誤)- 10 s

式、図、表の注意点

論文中の式、図、表にも色々な決まりがあります。

  • "Fig. 1.1"などは、このまとまりが同じ行に入るようにする(途中で改行されないようにする)。
  • "Fig."とこれに続く数字の間にはスペースを入れる。 正)Fig. 1.1 誤)Fig.1.1
  • "Table"の後にはピリオドではなくスペースを入れる。正)Table 1.1  誤)Table.1.1
  • 数学的な表現は本文中でも式中でもイタリック体(斜体)を使う。ただし、sin、log、expなどはいずれの場合もローマン体(直立体)を使う。
  • 図表の単位もSI単位にする。過去の文献から図を引用する場合もSI単位に描き換える。

*"Fig."のピリオドは、"Figure"の"ure"の部分を表しています。そう考えると、このピリオドの後にスペースが必要だったり、Tableの後にはピリオドが付かない理由もわかるかと思います。

参考文献について

最後は参考文献についてです。適切に引用するのはもちろん大切ですが、そのスタイルにも気をつけましょう。

  • 参考文献の番号は文の最後に挿入する。
  • 過去の文献に掲載されていた図を書き換えて使う時もその引用元を参考文献として明示する。
  • 参考文献リストには文献のタイトルとページ範囲を記載する。

習うより慣れろ

以上、一般的なルールにもとづいて、注意するべきポイントを書いてみました。

最初は意識的に注意する必要があるかもしれませんが、何度も書いていくうちに自然に間違いが減っていくように思います。

また、特に参考文献リストの書き方は、論文誌によっては独自の書き方を指定している所もあるので、投稿したいジャーナルのルールを確認することも忘れずに。

 

冒頭で触れたように、今回紹介した内容の元になったメモは、パソコンの中身を整理していたら、たまたま出てきたものです。

懐かしく思いながら読んでいましたが、古雑誌や古新聞を処分する時と同じように、いつまでたっても整理が進まなかったのは言うまでもありません。

論文書かなきゃ……。