海外の有名大学の面接試験で聞かれる問題がGoogleの就職試験よりえげつない

oxfird university

イギリスの超名門大学オックスフォード大学では入学試験の一環として面接試験があります。

今回の記事では、世界各国から秀才が集まるこの大学の入試面接で、どのような問題、質問が出されるのか紹介します。

さすがに超名門大学の呼び名にふさわしく、考えさせられるものばかりです。

世界有数の名門大学、オックスフォード大学

入試面接について紹介する前に、オックスフォード大学について簡単におさらいを。

ウィキペディアによる説明を抜粋しておきます。

イギリスのオックスフォードに所在する総合大学である。12世紀には大学の礎が築かれていることから、現存する大学としては世界で3番目に古く、英語圏では最古の大学である。また、ハーバード大学、スタンフォード大学、ケンブリッジ大学等と並び、各種の世界大学ランキングで常にトップレベルの優秀な大学として評価される世界有数の名門大学である。

イギリスでは、ケンブリッジ大学と併せてオックスブリッジと呼ばれており、ケンブリッジがサイエンスに強いのに対し、オックスフォードは政治・経済に強い傾向があります。

実際に、オックスフォード大学からは、デイビット・キャメロンを始めとする多数の首相や政治家が輩出されています。

また、実はスポーツにも強く、卒業生にはオリンピックメダリストも沢山います。

こんな世界トップクラスの超名門大学であるオックスフォード大学で勉強するためには、統一テストでの筆記試験の成績だったり、書類でこれまでの課外活動(運動やボランティアなど)をアピールするのはもちろんのこと、さらに面接に通過する必要があります。

毎年、世界中から数多くの優秀な学生がこの大学の門をたたくわけですが、ここで勉強が許されるのは、その中でもごく一部の限られた人だけです。

僕は現在、このオックスブリッジの片割れのケンブリッジ大に所属しているので、オックスフォードには色々と複雑な思いがありますが、やはりその凄さは認めざるを得ないというのが正直なところです。

面接試験で出される問題・質問

oxford university

オックスフォード大学の公式サイトを見ると、入試で出される質問の例が、面接官の意図や期待される回答とともに掲載されていました。

 Interviews at Oxford (University of Oxford)

同大の面接では、志望動機などが直接聞かれるのではなく、アカデミックな問題に関して質問されます。その質問に対する解答を通して、受験者の基礎学力はもちろん、適性や志望の強さがあぶりだされていくというわけです。

それでは、代表的な質問を以下に紹介します。

生物科学 (Biological Sciences)

質問:なぜ多くの動物には縞模様があるのでしょうか?

縞模様といっても、蜂、虎、へびなどの危険な動物もいれば、そういった怖い動物を模擬することで自分を強く見せようとしている動物、更に、しまうまのようにカモフラージュに利用しているなど色々なケースがあります。

生物の特徴と、それがどのように環境への適応に貢献しているのかについて考えさせられる問いです。

 

質問:ここにサボテンがあります。このサボテンを見て分かることを教えて下さい。

サボテンに関する知識ではなく、観察力と論理的な思考力が問われる質問です。

サボテンは他の植物とくらべて、肉厚でトゲがあることはもちろん、よく見ると表面は毛のようなもので覆われています。

なぜこのような形をしているかについてサボテンが生息する環境の特徴と絡めて、論理だてて説明することを要求されます。

例えば、水の貯蔵という観点からは、(体積に対する)比表面積が大きいのはどのような形状かといった議論などが必要になるんだと思います。

コンピューターサイエンス (Computer Science)

質問:7人の海賊が100枚の金貨を持っています。彼らはこれを分けたいのですが、海賊には以下の様なルールが有ります。

  • 最年長の海賊が分け方を提案する。
  • 最年長の海賊を含む全ての海賊は、その提案に対して投票をする。もし半数以上(半数を含む)が賛成したら、その提案の通りにする。もし賛成が半数に届かなければ、最年長の海賊を海に放り投げ、もう一度最初に戻る。
  • 海賊は完璧に論理的で、無情なので、自分の取り分を最大化することしか考えない。

さて、最年長の海賊はどのような提案をするべきでしょうか?

 

典型的な論理パズルですが、論理的思考はもちろん、複雑な問題を分解する力も要求されます。この問題は他の質問とは異なり、正解が存在します。

海賊が二人だった場合から考えていくことが解答への近道です。海賊が二人だった場合から順番に見ていきましょう。年長の海賊から海賊A、B、C、、、とします。

 

  • 海賊が2人:最年長の海賊Aは一人で半数になるので、自分が100枚取るという提案ができます。
  • 海賊が3人:最年長の海賊Aが海に放り出されたら、海賊Cが何ももらえません。したがって、海賊Aは、自分に99枚、海賊Cに1枚という提案をすれば、自分の票と、海賊Cの票で半数以上を獲得できます。
  • 海賊が4人:海賊Aは、先ほどと同様に自分に99枚、Cに1枚という提案をすれば、半数の票を獲得できます。
  • 海賊が5人:海賊Aは、3票を得るために、自分に98枚、海賊Cに1枚、海賊Eに1枚の金貨を配ります。海賊C、Eは、海賊Aが死んだら1枚ももらえないので、たった1枚の分配でも同意せざるを得ません。
  • 海賊が6人:海賊が5人だった場合と同じ考えで、海賊Aは自分に98枚、海賊Cに1枚、海賊Eに1枚となります。
  • 海賊が7人:いよいよ問題となったケースです。最年長の海賊Aは、4票が必要ですので、3人の海賊に金貨を渡す必要があります。よって、海賊Aは、海賊C, E, Gに1枚ずつ金貨を渡し、残りの97枚を自分が受け取るという提案をすればよいわけです。

この問題は結構有名なので、知っている人も多いかもしれませんね。うろ覚えですが、「ビル・ゲイツの面接試験」という本にも同じような問題が載っていた気がします。

経済学・経営学 (Economics and Management)

質問:銀行員の働きは彼らの給与に見合っていますか?政府は彼らの給与を制限するために、何かするべきでしょうか?

銀行員*は、自由市場の中で、高いスキルや才能を発揮した結果、多くのお金を稼ぐことができるわけなので、政府がとやかく関与することではないというのが、基本的な考え方になります。

たんに銀行員の給与が高いのが不公平かどうかを考えるのではなく、金融業界の他の産業との違いなどを踏まえて、なぜ彼らの給与が高いのか、そこにある経済学的な背景について考えることができるかがポイントのようです。

*ここでいう銀行員は欧米の投資銀行で働く人達をイメージした方がいいと思います。

工学 (Engineering)

質問:30cmの定規をあなたの両手からつきだした人指し指の上に載せます。その指をだんだん真ん中によせていくとどうなるでしょう?

ちょっとどういう体勢か分かりづらいかもしれませんが、あのダンディ坂野さんの「ゲッツ!」の人差し指に定規をわたすのをイメージしてください。

ゆっくりと指を中心に動かしてくと、定規はきちんとバランスを保ってくれます。この理由を説明する必要があるわけですが、これにはモーメントと摩擦という概念が必要になります。

定規の重心を中心としたモーメントがつりあっている時、定規の中心に少しだけ片方の指を近づけると、その指には大きな力がかかるので摩擦が大きくなります。すると、中心から少し遠い方の指の方が楽に動かせるので、その結果バランスがとれるというわけです。

英文学 (English Literature)

質問:JKローリングは、子供向けの作品であれだけ成功した後に、大人向けの作品を出しました。子供向けの作品は、大人向けの作品とどういった違いがあると思いますか?

作家が、異なる読者層に対してどのようなアプローチをとるかを考えさせるとともに、受験者が読者として、本にどのように接しているかを知るための質問です。

当然、この質問には決まった正解はありませんが、試験官は、受験者がどれだけ批評的に読書をできるかを判断します。

地理学 (Geography)

質問:もし私があなたが住んでいる場所を訪れたら、私は何に興味を持つでしょうか?

身近にある場所を題材に、都市計画、環境問題への対応などの観点から、地理学的な思考ができるかどうかが試される質問です。受験者は、自分の周囲の世界にどれだけ関心を持っているかも示す必要があります。

歴史学 (History)

質問:スポーツに関すること以外に過去の記録が何もない状況を想像してください。過去についてどれだけのことが分かるでしょうか?

これは、スポーツでなくとも、音楽でも映画でも何でも良いのですが、例えば、スポーツに関する記録が残っていれば、人種、階級、性別、国際政治、経済の発展度、社会における価値、健康状態など、非常に多くの情報が得られます。

この質問は山のようにあります。試験官は、この質問を通じて、受験者がどこまで自由な発想で、自分の考えを拡げられるかを見ています。

 

質問:あなたが一番インタビューをしたい歴史上の人物は誰ですか?またそれはなぜですか?

単純なようで非常に難しい質問です。受験者は、何を知りたくて、そのために誰と話せばよいのかを明確にする必要があります。

例えば、あなたがイギリスのチャーチル大統領のリーダシップについて学びたいと思っていたとします。その時あなたがインタビューをするべきのはチャーチル自身ではなく、世界大戦時の内閣のメンバーかもしれません。

歴史の学習者ではなく、研究者としての適性を評価している質問に思えます。

法律 (Law)

質問:駐車禁止の場所に車を止めたら死刑という法律ができ、誰も違法駐車をしなくなったと仮定します。これは適当で効果的な法ですか?

法律の背景にある基本的な考え方を問う質問です。

受験者は、犯罪とそれに対する罰の程度が対応していること(適当)と、犯罪を抑止すること(効果的)の違いをしっかり分けて議論することが要求されています。

材料科学 (Materials Science)

質問:象をもちあげるには、熱気球の空気をどれだけ高温にする必要がありますか?

この質問では、「答えはX ℃です。」というところまでは要求されていません。こういった問題にどのようにアプローチするかを見られています。

ある問題があった時、それにはどんな物理現象が関わっており、どのような考え方で、どの数式が使えそうかを考える力を試されています。

熱気球のサイズや象の重さについて、およその値をぱっと推定をする計算能力も試される質問です。

医学 (Medicine)

質問:運動をするとなぜ心拍数があがるのでしょうか?

オックスフォードを受けるレベルの学生であれば、「酸素と栄養を筋肉に供給し、老廃物を取り除くため」というのは誰でもできる解答です。さらに、「我々の身体はどのように心臓に心拍数を上げる指示をだしているのか?」という追加の質問が投げかけられます。

こういった解答に対する更なる質問の積み重ねによって、問題解決能力、論理的思考、知的好奇心などが幅広く試されるようです。

 

質問:われわれの身体にはなぜ赤血球があるのでしょうか?

単純に赤血球の機能を知っていれば答えられるという質問ではありません。

赤血球中のヘモグロビンが身体全体に酸素を供給するという一般的な解答を踏まえ(これが答えられないと話にならないんだと思います)、さらに「ヘモグロビンが必要な理由は?」、「ヘモグロビンが血しょうではなく、赤血球内に存在する理由は?」、といったように問いが深掘りされていきます。

現代語 (Modern Languages)

質問:詩は難解であるべきか?

試験官は特定の正解を求めているのではなく、どのような観点から難解さというものを考えるかや、他の創作物との共通点など、この一つの質問から受験者がどのように議論を発展させるかを見たいようです。

受験者は、これまでの知識や読書量が試されているではなく、今後の勉強でどれだけ注意深く、想像力をもって文学と対峙できるかをアピールする必要があります。

音楽 (Music)

質問:あなたが新しい楽器を作るとしたら、その楽器からはどんな音がしますか?

現在の楽器がどのような音をだし、その世界をどのように拡げていけるかについて、論理的、且つ豊かな想像力で解答することが期待されています。

楽器や音楽の定義について踏み込んで解答するのもありなようです。

哲学・政治学・経済学 (Philosophy, Politics and Economics)

質問:なぜアメリカの人口当たりの収入は、ブルンジやマラウイといった国の50〜100倍も多いのでしょうか?

各国の貧富の差や収入の差の源泉となる生産性が何によるのか、技術、教育、社会制度、法など多くの要素がかかわってくる問題です。

学校で習った知識に留まらず、幅広く考えることができるかどうかが問われています。

心理学 (Psychology)

質問:100人の参加者が£1ずつ払って、勝者が全取りするというゲームをイメージしてください。参加者は、他の参加者には内緒で、それぞれ0〜100までの好きな数を選びます。全員が選んだ数の平均の2/3に一番近い数を選んだが勝者です。あなたはどの数を選びますか?

実験心理学や行動経済学ではお馴染みのテストですね。

例えば、自分以外がばらばらに選んで平均が50になるだろう予想すれば、その2/3である33を選ぼうとするわけですが、他の人も同じ考えで33を選ぶだろうから、33の2/3の22の方が正解の可能性が高くなり、でも他の人もまた同じように考えるならば、22の2/3の、、、といったかたちで、最終的に0を選ぶことが一見妥当な選択のように思えます。

しかし、本当に全員が同じように考えるかどうか、ここから先が心理学的に面白いところで、どこの世界にも天邪鬼はいるものです。

もちろん、正解はないのですが、面接官は、受験者が問題に対してどのようにアプローチするかを見ています。

 

質問:ある実験によると、ウェールズ語を話す人は英語を話す人よりも電話番号を覚えるのが苦手なようです。これはなぜでしょう?

この質問が単体で出されるわけではなく、ウェールズ語話者と英語話者に関する一連の心理学実験結果についての議論の中で問われることを想定したものです。

これらの言語は、数字のつづり方が異なり、ウェールズ語の方が英語より長くなるようです。

記憶力とつづりの長さとの関係に気づけるかどうかがポイントで、間違ってもウェールズ人がイギリス人より知性が劣るという話ではありません。

 

質問:面接は選考試験として使われるべきでしょうか?

この質問に対する解答では、人間の判断における誤差やバイアスに考えるとともに、望ましい試験、評価方法について、試験官と議論することが望まれています。

それにしても、面接でこんな質問をされたら、色々考えすぎてゲロを吐くか、良くて顔面蒼白になりそうです。

神学・宗教 (Theology and Religion)

質問:激しいスポーツやアクティビティで、自分(あるいは他人)の命を危険に晒す人は、ヒーローでしょうか?それとも愚か者でしょうか?

しばらく前に流行ったマイケル・サンデルの授業で扱われそうな質問です。

受験者は、神学・宗教の知識は要求されません。専門的ではない、一般的な問題をどのように扱い、分解していくかを見られています。できるだけ柔軟に、論理的に、かつ真剣に問題に取り組むことが要求されています。

共通点は論理性と柔軟性

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いかがだったでしょうか。

質問の内容は難しいものばかりだったかと思いますが、実際には出された質問に答えて終わりというわけではなく、その回答を掘り下げるような質問が続いて、面接官と学生が議論をする形で面接が進みます。

今回はオックスフォード大の面接について紹介しましたが、他のイギリスの上位校(ケンブリッジやインペリアル・カレッジ)も同様の面接をしてます。

外資系IT企業の面接問題として出てきそうな質問もいくつかありましたが、あらためて凄いと思うのは、この入学面接に望むのが高校卒業前後の若い人たちだということです。

もちろん、多くの専門知識は期待されておらず、論理的に考えることや柔軟に新しいアイデアを出せるかどうかなどが評価のポイントになります。大学のサイトを読む限り、大学としてはあくまでも学生のポテンシャルを評価の対象にしているとのことです。

とは言え、こういった質問に対してしっかり受け答えができるような学生は、ポテンシャルがあるどころか、企業などに入っても即戦力になれるんじゃないかと思ってしまいます。

例えば、東大生とオックスブリッジの学生のどちらが優秀かは一概に言えませんが、学生の多様性という意味では、やはりオックスブリッジに軍配が上がる印象があります。

学生がお互いに刺激を受けて成長するためには、大学が多様な学生で構成されることが望ましいのは間違いないので、日本の大学入試のようにほとんどの学生をペーパーテストだけで判断するというのには、ちょっと無理があるのかもしれません。

面接試験は学生だけじゃなくて大学、教員側にとってもすごい負担なので、どこまで腹をくくってチャレンジできるか、大学の態度も問われている気がします。

先日、日本でも東大や京大がAO・推薦入試を導入するという記事を見ましたが、期待したいですね。